啓蟄は、冬ごもりをしていた虫たちが土の中から顔を出す目覚めの季節。しかし、近年はもっぱら花粉が目覚める=本格的に飛ぶ季節として定着してしまった感があります。この時期、テレビの天気予報では「明日の花粉は非常に多いでしょう」などと必ず説明してくれますし、スマホの天気予報アプリなどを使えば、自分の住んでいる地域や出かける場所に花粉がどの程度飛散しているか、雨雲の動きと同じようにリアルタイムで確認することができます。いまや国民病といわれる花粉症の影響力、恐るべし、です。
かくいう私も花粉症持ちですが、幸い市販薬で症状を抑えられる程度で、仕事や生活に支障なく春を過ごせています。コロナ禍を機に、マスクの効果も改めて知った次第です。
国は花粉症対策を強めていくとのことですが、その大きな柱は「スギ人工林の伐採や、花粉の少ない苗木への植え替えなどを進める」「民間による飛散予測の精度向上を支援する」「治療薬の供給量を増やす」の三つ。専門家ではない私でも、林業への支援や伐採した木材の活用などを含めて、多くの難題が待ち受けていることが想像できます。それでも立ち止まっているよりは進むべきなのでしょう。花粉症を通して、自然と人間の関係について改めて考えさせられる今日このごろです。
(紘)