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啓蟄号 -今日は旧暦 2月 3日です-

今日は啓蟄、「冬ごもりをしていた虫たちが、日差しで温まる土の中で一斉に目覚め始めるころ」。

今年の2月後半の連日の寒さはひときわ厳しさを感じていましたが、ここ数日の暖かさに待ちわびた春がやってきたのを実感します。

わが家の春の定番の食材のひとつに「つくし」があります。子供の頃は近所の土手でつくし採りを楽しみ、どっさりと家に持って帰って、祖母・母・姉と一緒に手を真っ青に染めながらはかま取りをしたものです。

大人になってからは、つくし採りを楽しむことも、はかま取りをすることもほとんどなくなりましたが、母親は今でも「やっぱりこの季節、一度は食べないとね」と言ってつくしを採ってきんぴらをこしらえます。

今年はもう顔を出しているのでしょうか。まだまだ寒いと思っていても、日当たりの良い土手などで思いがけず大きくなっていたりするんですよね。

もうひとつ春を感じさせてくれる食材で思い出すのは「こうなご」ですね。こちらは自分で獲りに行けるものではありませんが、買わなくても不思議と近所のあちこちから「泳いでくる」ものでした。

なぜかバタバタしている日に限って、近所の人がやってきて「こうなごいらへん?」

すぐに炊かなければいけないので、そして大量にあるので面倒なのだけれど、「今日は忙しいでいらへんわ」なんて絶対に言いません(笑)

大きなお鍋いっぱいに炊き上がったこうなごは、煮汁と一緒にご飯にかけて食べたり、卵とじにしたり、くぎ煮にしたり。そしてそのくぎ煮はまたご近所へおすそ分けしたりと、田舎ならではのやり取りが毎年繰り広げられていました。

しかしそのこうなごはここ数年、伊勢湾では獲れなくなっています。

原因はわかりません。潮の流れが変わってしまったのでしょうか。

近くで水揚げされないので、近所から頂くことも残念ながらなくなってしまいました。獲れなくなったのは伊勢湾だけなので、他所で水揚げされたこうなごはスーパーに並ぶのですが、スーパーで買うという行為は私にとっては何か違うんですよね。

ずっと変わらないと思っている自然界の営み。変化するとしてもそれはごくごく緩やかに進むものと思い込んでいますが、こんなに急激に変わってしまうこともあるのですね。

急激な変化も穏やかな気持ちで受け止められるように、今あること、できることを、ゆっくり味わう丁寧な毎日を送っていきたいものです。

 千鶴子


by uneme_tayuu | 2022-03-05 10:09 | 暮らし暦 | Comments(0)
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