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立秋号 -今日は旧暦 6月16日です-

私の両親は昭和10年代の生まれで、戦中・戦後の日本が貧しかった頃
の話を、私は子供の頃から時々聞かせてもらっていました。
その中で、父親が祖父から聞いた話というのをひとつ紹介させていただ
きますね。

うちがある集落は百姓村だったので、食べるものを譲ってほしいと、
よその土地から訪ねてくる人が何人もいました。
ある時、うちを訪ねてきた人に、祖父が食事を勧めました。質素な野
菜のおかずと白米のご飯。
その人はお腹をすかせている様子だったのに、その食事を前にして迷
いながらなかなか手をつけようとしません。
「どうぞ遠慮なくおあがりください」と声を掛けた祖父にその人は
涙を流しながらこう答えました。
「普段食べることのできない白米、非常にありがたいことです。本当
は食べたくて食べたくて仕方がありません。しかし今ここでこれを食べ
てその美味しさを知ってしまうと、この後また続くひもじい日々が余計
につらくなることがわかるのです。」
祖父はそれ以上何も言えず、結局その人は食事には手をつけず帰って
いったそうです。

この話は父親から何度も聞きました。たぶん、今は時代が良くなった、
私達は恵まれている、そういったことを伝えたい時にこの話をしていた
のだろうなと思います。
終戦記念日が近づいて、太平洋戦争に関係した話題が増えるこの時期。
名前もわからない民間人のエピソードですが、何か感じていただけるも
のがあれば幸いです。

 千鶴子
by uneme_tayuu | 2017-08-07 09:05 | 暮らし暦 | Comments(0)
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