水ヌキの池
ここが何処かわかる人はかなりの竃の家通かもしれない?
草刈もほどほどのかなり荒れた竈の家の敷地の一部。 実はこの辺りは、昔、池だったらしいのだ。 曽祖父が始めた材木屋家業。 祖父の代になって「商売を大きくするならやはり東海道に出ないかん!」と 店と自宅を別々にするまでは、この家で商いが営まれ、 地元の大工さんが出入りをした。 木材は、牛車を使い数人がかりで、3本か5本ずつ、近くの山から運んでいた。 そんな頃の話だが、驚いたことに、ここはその当時、山から切り出された木材を 水中乾燥するための池だったのだ。 一反ほどある敷地だが、今は5倍の広さの土地で仕事をしているので、母から 「昔はここで商売をしていたやんに。」と聞かされたときでさえ、こんな狭いところで どうやってできるの?と思ったものだ。 それなのに貯木場まであったとは!驚きというほかには言葉が出ない。 現代のようにスピード化された時代ではないので、木材の乾燥も のんびりと半年から一年はかけていたという。 そんな頃の規模でいう半年分の木材の量がどれくらいだったのか? 数人がかりで運んでくる木材がどのように狭い敷地の小さな池に浮かんでいたのか? 池の深さや大きさは?水路はどうやって? そして結局いつ埋め立ててしまったの? まだまだ聞き足りないことはたくさんあったのだが・・・ 「水に浮いとる木の上をな、池に落ちんようにポンポン飛び移るんが子供の頃の ええ遊びやったんや。おてんばやったさかい、よぉ父親から叱られたもんや。」 このことを教えてくれた伯母は、最後にはそう言って昔を懐かしみ笑いながら ひとりでに電話を切ってしまった。 切れた受話器を置きながら、私も思い出した。 そうだ私も!山積みされた原木の上や下が・・。飛びのったり、隠れ家にしたり、僅かな隙間をくぐり抜けたり・・。 製材される順番を待つ木材の原木置き場が私の格好の遊び場で お人形なんかでは少しも遊んでいないのだった! 時代は違えども材木屋の娘の遊びは同じなのだと考えながら少しおかしくなった。 今ではすっかり真面目に大人しく変身してはいても、「おてんば、じゃじゃ馬、暴れ馬」と時々人にいわれてしまうのは、こうした原体験故なのかも知れないと・・(笑)。
by uneme_tayuu
| 2006-06-17 19:48
| 竈の家紹介
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Comments(5)
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magnolia_tree at 2006-06-18 02:52
うわー!またしてもいいお話!何度も読み返してしまいました。
こういうエピソード、いずれまとめて書物にしましょうね。 竈プロジェクトの一環として。 「材木屋の娘」と「米屋の娘」・・・遊び方が似ているかも!! 何だかまた共通点があってうれしいです。 しかしながら、 “真面目に大人しく変身”とは???え?
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かまどウマ
at 2006-06-18 10:53
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uneme_tayuu at 2006-06-18 20:31
↑そこ、突っ込んで欲しかったところなんです。
みんながフツウに納得したらどうしよ!?と少し心配もしていたところ。 なのでホッとしました(笑)。 agunolia_treesさんもかまどウマさんも反応してくれてありがとう♪ でもね、気持ちはいつも「おしとやかに」なんですよ。 せめてweb上ではそう居させてくださいね(^^) 竈プロジェクトとしての書物の出版! 私では思いもつかないアイディア、さすがはmagnolia_treeさんですね。 この家の歴史を紐解いていく励みになります。 でもその前に懸案企画! 今年中にせめて一つは実現させましょうね!
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windy
at 2006-06-18 23:13
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uneme_tayuu at 2006-06-19 05:08
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