ナンド
ダイドコの奥にあるのがナンドと言われる部屋。
ここで家族が寝起きした。 私が生まれたときすでに父母の生活の場は現在の地に移っていたが、 家業で忙しかった母に代わり祖母が私の面倒をみることがよくあった幼い頃、遊び疲れて寝かされたのがこの部屋で、 2年前、この家の再利用を思い立って閉め切った雨戸を開けたとき、一番荒れていたのもこの部屋だった。 原因は雨漏り。数箇所で屋根の瓦が割れていた。 庭に予備の瓦が残してあったので、据え変えようと助っ人を頼んだが、よくよく見ると瓦はどれも形の違うさん瓦とがんぶり瓦で、合うものはなかった。 応急措置で、離れの便所の瓦を割れた瓦と据え変えた。 以来、雨漏りはおさまったが、床や柱・梁、壁は5年のうちに相当の損傷を受けていた。 そんな荒れたナンドに、ある日朗報が持ち上がった。 それは、出入りの竈メンバーに取材カメラが廻るというテレビの特番企画。 ロケ地に選ばれたのが「竈の家」だった。 収録の内容は、勿論、作りごとなどではなく、我々がやっていることであり、やろうとしていること。つまり、竈で炊いたおにぎりご飯を楽しむ「竈の会」を開きながら、竈に代表される昔ながらの時間のかかる生活を再現しつつ、この住む人の居なくなった古い民家に手を入れていこうというもの。 手を入れるってどうやって?なんでテレビ局が? そう思うかも知れない。 が、以前の記事でも紹介したように、最初にここに足を踏み入れた彼ら、現竈メンバーは、何を隠そう、正真正銘の本職大工なのだ。 それもテレビカメラが追うほどのマニアックなカリスマ大工達。 彼らを一躍有名にしたのは、昨年の愛・地球博で大人気だった「サツキとメイの家」。で、 「サツキとメイの家」を請負うために集まった技術者集団を五月組工務店と呼ぶのだが、その五月組の親方や棟梁ら幹部と最初にここにやってきた竈メンバーは不思議な縁で同じなのだ。 それぞれの仕事に戻り、忙しい日々を送るなか、撮影のための下準備がなされた。 ![]() 打合せ。 材料の拾い出し。 当日作業の前準備。 畳をめくり、土台を据えなおし、敷居を入れたのは前日の夜中だった。 ![]() 当日のロケは、万博が育み培った人と人のつながりを記録し、思わぬ縁から生まれたこの家の夢を映し、子供達に昔ながらの生活の知恵を授けもした。 そうして撮影の当日に出来上がったのが、この温かみのある杉の床板のナンド。 ![]() 雨漏り水をたっぷり含んだ畳が取り払われ、床に敷いた竹墨の効果も合間って、今は雨の日でもじめっとしたイヤな感じがなくなった。
by uneme_tayuu
| 2006-06-03 10:40
| 竈の家紹介
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Comments(5)
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先日の竈+総会会議の前夜、
はじめてこの納戸に寝かせていただきました。 思いのほかサラリとした表面は 寝汗を時たまかく私にとっては極楽極楽って感じで 米西海岸を旅してる夢なぞ見ていたような・・・ というかあまりのネムネムで夢どころでなく 爆睡状態だったのは周知の事実。 あの蔵の三階にもこの床板張りたいなぁ・・・
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uneme_tayuuさま。そして五月組の皆様。
その節はいろいろと無理なお願いやご協力をして頂き、本当に 有り難うございました。 あの時に特番の企画をしたことが、今に繋がっていると思うと 感無量です。 あの番組の本編(例の家紹介)より、この特番の時の方が楽し かった気がするのは、構成担当の独りよがりかな・・・。 ![]()
あらら、かまどウマさんとmagnolia_treeさん、お揃いで…。
そう、それが今に繋がってんですね。(妬)(そして笑)
私はあのときの撮影しか知りませんが、それはそれは楽しい一日でした。
いつもより人の出入りが多かったこと、限られた時間内にすべてやって しまわねばならなかったこと、家の修繕が一気に進んだこと(これが一番 ですが!(^^)!)以外は、なんら変わりない、いつも通りの「竈の会」でした。 なにもかもがmagnolia_treeさんと知り合えたおかげだと思い出すたびに 感謝しています。 これからもヨロシクお願いいたしますね。 いつか記事にしたいと思いつつ、今回やっとでした。 Windyさん、そんな嫉妬せずにまぁまぁ(笑)。 こちらのコメント欄でmagnolia_treeさんとお揃いにさせていただきますので これでひとまず我慢してくださいね♪
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