冬至号 -今日は旧暦11月1日です-
冬至
寒さ沁み入る毎日ですが、今日は冬至。 寒気の深まりはまだしばらく続きますが、 今日を境に日は長くなりはじめ、 外仕事や自然相手の仕事をする人には特に ほっとうれしい転換の日だと思います。 今年の冬至は、新月と重なる 十九年に一度の「朔旦冬至」。 この日を境に太陽と月のエネルギーが 同時にプラスに転じるという、 たいへん気持ちのよい区切りの日です。 ところで、最近20年振りに読み返している本に、 暦にまつわる物語がありました。 少し長くなりますが紹介します。 舞台は戦中戦後の日本のような状況にある国、 みなが降りかかる苦難と戦い、日々の暮らしを守るのに 必死になっている時代の中で、 日がな一日閉じこもり、空や天体をながめ、 草木や虫、動物の生態を観察して記録するだけの 毎日を送る学者風の男たちがいます。 「平和な時ならともかく、こんな時にそんなことを 暢気にやっている場合では」という感じで それを間近で見ている主人公も怒るのですが、 実は彼らは、暦を作っていたのでした。 毎日毎日繰り返されていた観察は、 移り変わりゆく自然の営みを見抜き、 暦を調整するためのものだったのです。 このことについて、作中では、こう語られます。 「こんな時代だからこそ、暦は大事なもの。 全ての人が、苦難と直接的に戦える訳ではなく、 日々の暮らしを支える役割の者も必要。 生産者が失敗するということは、人々は飢えるということ。 だから、(生産者を失敗させず、災害や恵みを予測して暮らしの安全や豊かさを補佐す る)正確な「暦」を誰かが作らなければいけないのだ」と。 ……今でこそ、物流や経済が発達し、 不作のものがあったり災害で作物が駄目になったとしても すぐに国内のどこかから、また外国から輸入して 「飢える」ということはなくなっています。 そして、そんな状況の中、現在における暦は 「季節を感じる風流なもの」「古き良き日本の文化」 というやわらかなニュアンスすらもまとっています。 でも、本来は、「暮らしを支える必死の礎」であったのだと、 あらためて思い返しました。 今回の「朔旦冬至」、太陽と月との関係の他に、 実はもう一つの側面があるそうです。 閏月を差し込みながら調整を重ねた暦が、 19年に一度、霜月朔日と冬至の日とがぴったり重なる。 そのことは、19年に一度、「暦が正確だった」という 再確認をとる機会で、即ち、 今後も暦に従った暮らしを計画立てて行ける、という 安心と喜びにつながるものでした。 暦の作り手たちの綿密で長い営みに思いを馳せて、 今夜は柚湯に入ろうと思います。 emix
by uneme_tayuu
| 2014-12-22 09:37
| 暮らし暦
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