人気ブログランキング | 話題のタグを見る

小暑号 -今日は旧暦5月29日です-

梅雨らしい長雨がすくないまま夏になりそうです。みなさま、このところの蒸
し暑さにめげずお元気でお過ごしでしょうか。しばらくかまどメールにお付き
合いください。今日は、家造りについて思うところを書いてみます。ちょっと
長いですが読んでいただければうれしいです。

私自身は25年前に建売住宅を買い、同じく25年前に長野の山中に12坪
ほどの山小屋を友人とともに自分たちで建てました。最近13年は住宅用の
木材を主に扱う会社で営業職をしており、200棟以上の戸建住宅の建築に
材木納入で関わってきました。そこでの経験や見聞もとに書いていきます。

家は三軒目に思い通りの家が建てられると言いますが、たいていの人が初
めて取り組むことなのでいろいろ悩むことと思います。でも実はとっても簡
単なことだということを説明したいと思います。建てる土地はあることを前提
にしたお話になりますのでご承知ください。

家造りの二大要素は、材料と職人です。この二つで家は建ちます。という
かこの二つがないと家は建ちません。図面とか役所への届出、融資手続き
などの要素は補助的な要素で、必要になる場合もあるということになります。
施主がこの二つの要素にどう関わるかが家造りのバリエーションになります。

まず私の山小屋の話です。主な材料を地元の製材所や材木屋で買って来
てすべての工程を三年かかって日曜大工(自分が職人)で建てました。この
方法はセルフビルドといい、もっともお金がかからないけど骨が折れる方法
です。材料の調達にもいろいろ勉強が必要です。余談ですがこの時の経験
がいまの材木業界に転職するときにたいへん役にたちました。建築の届出
がいるはずだったけどそんなことは知りませんでした。届出なしで家は建っ
てしまいました。はじめは平面図はあったのですが、基礎工事の段階で家
が大きすぎて断念し、それから図面なしで工事が進行しました。完成後に
村役場が来て、固定資産税と特別住民税を支払うことになりました。業者
が届出なしで建築をすると建築業法の違反になり咎めを受けますが、個人
の場合はお咎めは無いようです。この方法は特殊な事例なのでこれくらい
にします。

そんな自分で建てる時間や体力がないという方には、材料屋から材料を買
って、職人を雇って建てる方法があります。材料によっては職人手配のも
のもあります。これを施主直営工事と呼びます。昔は主流だった方法です。
まず地縁血縁などの諸般の事情を考慮しながら棟梁をしかるべき人にお
願いします。多くの場合は大工か左官がその任を担ったことでしょう。棟梁
に相談しながらほかの職人にも声をかけます。かまどの家が建てられた時
代は、大工、左官に瓦師、建具師がおもな職人だったことでしょうか。(瓦
師、建具師は、私の造語です。この頃なんと呼んでたのでしょうか。)
昔はこの方法が普通だったはずで、大人になるまでに近所の事例などを見
ながら自然と施主直営の知識が得られたことでしょう。

私の親父は昭和4年の信州木曽生まれで、兵隊から戻って若いころに名
古屋へ出てきて就職し、昭和51年に名古屋に初めて自分の家を建てまし
た。故郷の木曽の山林で生えている桧を買い付け、松林で地棟の松を選
び、伐採、製材を手配し、大工、左官などを雇って家を完成させました。図
面、確認申請は甥っ子の建築士に依頼し、融資手続きなどは自分でやりま
した。断熱工事は大工が嫌がったので私と兄の担当でした。グラスウール
が痒くて堪りませんでした。親父はサラリーマン勤めをしながら、約一年か
かった工事を取り仕切りました。

現代は、もっと多くの職種や工事があり、建築士、地盤改良工事、基礎工
事、大工、左官、屋根工事、電気工事、水道工事、板金工事、断熱工事、
建具工事、ざっと最低これくらいはあります。施主直営でやるとそれぞれの
工事業者や材料業者に依頼することになります。一年も勉強すればそんに
難しいことではないと思います。自分の選んだ職人に腕を振るってもらって
素晴らしい家ができることでしょう。

そんな手間と時間がかけられないあなたには、工務店という優れた存在が
います。あなたに代わって、施工に関わる間接的な手間をすべてやってく
れます。希望を伝え、図面と見積を作ってもらい、契約書にハンコを押すだ
けです。お金さえあれば、あなたが仕事して遊んで寝てる間に希望の家が
建ってしまいます。良い工務店を選ぶのはあなたの眼力にかかっていま
す。
ここだけは外せないポイントです。人柄と腕のよい大工の親父がやってい
る地元の工務店が見つけられたら幸運ですね。

安心安楽のハウスメーカーという存在もございます。テレビで宣伝してる
し、モデルハウスも見られるし、最新のCAD/CGシステムで写真と見まごう
ばかりの完成予想図も見ることができます。材料や設備は、基本的にファミ
レスのメニューから選ぶのと同じように、あらかじめメーカーが研究し用意
した構法、設備の選択肢から気に入ったものを選ぶだけなので難しい勉強
も不要です。この方法は、安心安楽と引き換えに、比較的高額の手数料を
負担する必要があります。3000万円の家なら、およそ40%、1200万円がそ
のための経費と言われていまして、実際に一括して建築を請け負う会社に
は1800万円ほどで発注されているようです。1200万円で安心安楽が買え
るなら安いものといえるでしょうか。あと、無垢材を使うのは得意ではありま
せんので注意ください。施主支給という方法を使って無垢材を納入した経
験もありますが、荒業とういか若気の至りというかもう二度としません。

さてさて、いろいろ書いきましたが、家造りってとっても簡単なことがよーく
おわかりになったことと思います。じゃあお前がもし三回目の家を建てるな
らどの方法かって。私の場合は良い国産の材木が手に入るので、人柄の
よい大工さんと左官さんにお願いして勉強しながらゆっくり土壁の家を施主
直営で建てるでしょう。外観は日本に昔からある風情で、その土地に溶け
込むものにします。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。


kuma28
by uneme_tayuu | 2013-07-07 13:36 | 暮らし暦 | Comments(0)
<< 第12回leブランチ竈(るぶら... 第30回サロンde竈(さろんで... >>