大寒号 -今日は旧暦12月1日です-

「路地のぬくもり」

 新暦での年が明けて早くも20日間経ちましたが、旧暦では12月、年末
に当たる時期。二十四節気では「大寒」、最も寒さが厳しくなる時期を
迎えます。
 旧暦で年末だから「よーし、大掃除にとりかかりとしますか!」とい
うような気分は、どちらかというと新暦でやり残したことをこれからや
りましょう、という魂胆が見え見えでしょうか(笑)


 さて、最近「銭湯」行かれたことありますか? 学生時代などにア
パートに下宿して通っていた人、旅路の途中で立ち寄る人、家風呂が無
くて通った人……。私は時間があるときに仕事帰りに銭湯に立ち寄りひ
とっ風呂浴びて家路につきます。非常に気持ちのリセットになるからで
す。
 まちの路地から空を見上げると当たり前のように煙突が目印となって
建っていた銭湯も、経営者の高齢化やボイラーの老朽化、主要幹線道路
沿いに出来たスーパー銭湯の出現の影響などもあって、かなり減少して
きています。

 自己PRになってしまうのですが、そんな銭湯の姿を見てもらう写真展
を「大寒」になるこの時期に現在開催しています。
 写真展を開催したきっかけは私の中学時代の同級生、永瀬裕司(なが
せひろし)との再会から。
 「NAGI」という、伊勢にある出版社「月兎舎(ゲットシャ)」が発行
している大人のローカル誌があるのですが、2006年に編集部に永瀬から
本に載っている写真に私の撮影クレジットを見つけて「中学時代のコン
吉(松原の中学当時のあだ名)違いますか?」……そんな問い合わせが
入ったのがきっかけにして20数年ぶりに再会。そこから銭湯の魅力にど
っぷりと浸かっていた永瀬との銭湯巡礼が始まったのです。
 最初のうちは三重県内の廃銭湯などをゆっくり巡ったりしながら、の
んびりと現役銭湯に浸かったりしていたのですが、だんだん現役銭湯が
閉じる情報が多く耳に入ってくるようになりました。現役銭湯の姿を生
きている感じのままで写真に残したい! いや残さなきゃ! という思
いが強くなりそれから「村の記憶」で使用しているカメラと同じ4×5イ
ンチの大型カメラで撮影を進めました。
 撮影は銭湯さんの協力をいただいてお客さんが入る前に少し時間をか
けながら行わせてもらっています。
 富士山のペンキ絵、男は普段なかなか見ることの無い女湯のタイル画、
使い込まれてひび割れているタイル、古びたカラン……。
 そのような現役銭湯の姿を大判カメラによる細密描写を通して触れて
もらえる写真展です。

 写真展を開催しながら「銭湯の魅力」を考えてみる。
 スーパー銭湯との違いはなんだろうか?
 いろいろと便利にその施設内で完結できるのがスーパー銭湯。風呂上
がりに食事も出来たり、ドリンクを飲んだり……。
 もちろん駐車場の心配も不必要。それはまるでショッピングモールの
感じ。

 対する銭湯は、まちの個人商店。魚屋、八百屋、薬屋、花屋……、そ
んなまちのなかにあるひとつの風呂屋。
 番台越しには近所のおばちゃんやおっさんが今日あったできことや老
人介護の話など現実的なことも含めて話していることがその土地の方言
丸出しの言葉で耳に入ってきます。 「あの人今日はこやん(来ない)
けど風邪でもひいたんかな?」「ここらの人間は言葉は悪いけど人間は
最高やに」いろいろ話しかけたりもしてくれる。
 路地の近くにあること、湯船までの距離感。銭湯は入口から湯船まで
の導線が短く、路地を歩いて暖簾をくぐれば直ぐそこに湯船がある感じ。
その導線の短さも特徴の一つ。一瞬にしてワープ(極端かな)する感覚。
 湯船に浸かりながらも銭湯前の通りには家路につく人達の足音が聞こ
えてくるような気がする。「キキッ」と自転車のブレーキを止める音。
風呂に入るお客さんがやって来た。
 風呂を出て帰路につくときも、入浴中のおばさん達の声が身体にカケ
ル湯の音と共に路地に漏れてくる。
 なんと生活の匂い丸出しの感じだろう。「まちの体温」そのものがそ
こに存在しています。

「まちの体温」に触れに銭湯に足を運んで見ませんか? ほっこりしま
すに。

by 写真師松原
[PR]
by uneme_tayuu | 2015-01-20 13:29 | 暮らし暦 | Comments(0)
<< 立春号 -今日は旧暦12月16... 竈~年忘れお餅つきの会~開催の... >>